豪ドル/円相場は、97~9円水準まで値位置を切り下げている。5月上旬は総じて100~102円のレンジで揉み合う展開になっていたが、その後は世界的な株安を背景に100円の節目を完全に割り込み、4月上旬以来の安値を更新している。リスクマーケット全体の地合が不安定化する中、投資家が高利回りの資産を求める動きに一定のブレーキが掛かっている。また、中国経済の減速懸念が蒸し返されていることも、豪ドルにはネガティブに。
世界的に株価が不安定な値動きを繰り返す中、投資家のリスク選好性にもブレーキが掛かっている。連休明け28日の米株式相場は改めて過去最高値更新を窺うような動きを見せているが、震源地である日本株が乱高下を繰り返す不安定な地合を繰り返していることもあり、まだ豪ドルの地合は定まっていない。1週間程度は現在の混乱状況が続く可能性もあるため、引き続き株価動向を注視せざるを得ない。ただ、株価が安定化に向かえば、豪ドルの下落余地は限定的と見ている。中国経済の減速懸念が再浮上し、豪追加利下げのリスクも否定できない状況だが、豪ドル売りの動きは対米ドルを中心に展開される模様であり、対円市場では下げ渋り可能性が高いと考えている。
円サイドでは上昇傾向を強める円金利への対応などが関心事になっているが、異例な緩和政策導入に伴う一時的な混乱であり、大きな問題にはならないだろう。これから国債購入が着実に進めば、先行事例となる米国同様に金利低下圧力が強まる形で、円安傾向を支持する可能性が高い。豪ドルと円は弱さ比べの様相を呈しているが、緩和効果としては利下げよりも量的緩和の方が大きく、対円では横ばいないしは緩やかな押し目買い基調が維持されるとみている。豪ドル売りは、対米ドルを中心に考えたい。
今後1週間の予想レンジは、96.00~100.50円。